コロナの影響が社会やビジネスに大きな変化をもたらしている。日経BPは、パンデミックによる社会変革について、ビジネスパーソンを対象に「5年後の未来に関する調査」として、2020年5月からアンケート調査を実施中である。延べ1万1000人以上(2021年1月時点)への調査から見えてくるのは、ビジネスパーソンに大きな意識変化が起きていることだ。調査結果サマリーは、日経BP総合研究所の会員制Webサイト「イノベーションリサーチ インサイト会員ページ」で公開中である。

 2020年10月の「2050年カーボンニュートラル」宣言に続き、同12月には経済産業省が中心となって「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を策定した。同省は、この戦略を「菅政権が掲げる『2050年カーボンニュートラル』への挑戦を、『経済と環境の好循環』につなげるための産業政策』としている。戦略では、成長が期待され、なおかつ温室効果ガスの排出を削減する観点から国内での取り組みが不可欠と考えられる14の産業を重要分野として挙げた(図1)。今回は様々な経営者や役職者を中心に「グリーン成長戦略」の認知度および期待などを尋ねた結果を取り上げる。

図1●「グリーン成長戦略」14の重要分野

 経済産業省による戦略公表から1カ月ほど経過した2021年1月21日~同2月2日に「グリーン成長戦略」の認知度を尋ねた。菅政権による2050年カーボンニュートラル宣言を「知っている、聞いたことがある」と回答したビジネスパーソンでは、57.8%が「グリーン成長戦略」を「詳細まで知っている」または「概要は知っている」と回答した(図2)。4割はまだ内容を理解していないという結果であった。

図2●「グリーン成長戦略」認知状況出所:日経BP総研 『5年後の未来に関する調査<企業投資/カーボンニュートラル期待度編>』 

 続いて、「グリーン成長戦略」の詳細または概要を知っていると答えた回答者に、この戦略は国内産業の活性化につながると思うかを尋ねた(図3)。国内産業活性化につながらない(「そう思わない」+「どちらかといえば思わない」)という否定的な見方は1割未満とわずかで、産業活性化につながると考える肯定的に捉える回答が約7割に達した。経済産業省によると、この戦略により、2030年に年間90兆円、2050年に年間190兆円程度の経済効果が見込まれるという。今回のアンケートに回答したビジネスパーソンの多くもその効果に期待を寄せているようだ。

図3●「グリーン成長戦略」は国内産業活性化につながるか出所:日経BP総研 『5年後の未来に関する調査<企業投資/カーボンニュートラル期待度編>』 

 「グリーン成長戦略」で実行計画を策定している14の重要分野のうち、勤務先のビジネスと関係する分野を尋ねたところ、5分野が2割を超えた(図4)。このうち、「自動車・蓄電池産業:EV・FCV・次世代電池」が3割を超えている。

図4●「グリーン成長戦略」14分野のうち勤務先のビジネスに関係するもの(トップ5)出所:日経BP総研 『5年後の未来に関する調査<企業投資/カーボンニュートラル期待度編>』 

 グリーン成長戦略の重要分野と勤務先のビジネスが関係していると回答した人に、今後5年くらいの間に、その分野は勤務先の有望なビジネスになると思うかと質問した(図5)。その結果、63.2%が有望ビジネスになると期待していた。期待を寄せる回答者からは「新しいビジネス拡張につながる」「世界全体のトレンドであり、需要が伸びる」という意見が目立った。一方で、ビジネスとして展開するために必要な人材などのリソースが不足しているという声は少なくない。経済産業省は戦略を説明する資料の中で「民間企業の前向きな挑戦を全力で応援」することが政府の役割としている。今後、民間企業にとって魅力がある具体的かつ効果的な施策を打ち出せるかが有望ビジネスを創出する大きなカギとなりそうだ。

図5●「グリーン成長戦略」関連分野 有望ビジネスとしての期待出所:日経BP総研 『5年後の未来に関する調査<企業投資/カーボンニュートラル期待度編>』